熱性けいれんと言えば、幼児のけいれんでおなじみですよね。
我が家は、子どもが9か月の頃にけいれんを起こし、救急で搬送されました
「熱性けいれん」の診断を受けたあと、さらに痙攣が多発し、結果として急性脳症の診断を受けました。
急性脳症は怖い病気です。後遺症が多く残る病気でもあります。
急性脳症の原因や、症状、治療法など、我が家の体験を記していきます。
急性脳症は、約40%が原因不明です。
急性脳症とは、発熱・けいれんに伴って起こる意識障害を中心とした病状です。
発熱、けいれんで救急車で搬送され、病院で受診された場合、考えるべき病気は「熱性けいれん」「髄膜炎」そして「急性脳症」の3つと言われています。
急性脳症の多くはけいれんを伴うため、病院へ来た段階では熱性けいれんなのか髄膜炎なのか、急性脳症なのかをすぐに判断することはできません。
痙攣の様子や、その後の意識回復等を見ながら、判断をしていく必要があるのです。
大学病院へ戻ってからも、けいれんを多発したため、そのまま入院をすることになりました。
熱性けいれんではない場合、検査を行います
けいれん多発、明らかに熱性けいれんではないと判断されたため、検査と治療も含め入院を余儀なくされました。
- インフルエンザ
- アデノウィルス
- 突発性発疹
- マイコプラズマ
- 髄膜炎
上記は、急性脳症の原因となる一部病気です。
実は、約3カ月前の生後6カ月の時にインフルエンザに感染していたので、インフルエンザが何かしらの原因を作ったのでは?と思ったりもしました。
数カ月前にインフルエンザになったことを医師へも伝えましたが、
「数カ月前のインフルエンザが原因になることはあり得ない」と言われました。
結果的に検査でインフルエンザウィルスが出ることはなく、今回の急性脳症は全く関係はありませんでした。
急性脳症を起こす疾患と割合は以下の通りです。原因不明も、約40%ありますが、我が家の場合も原因不明でした。
- インフルエンザ・・・約30%
- 突発性発疹・・・約20%
- ロタウイルス
- RSウィルス 等
- 原因不明・・・約40%
血液検査や便を採取して、原因を調べたという風に言われましたが、髄膜炎の検査は、非常に痛々しいものでした。
髄膜炎の検査は、脊髄から髄液を採取するのですが、痙攣続発している9か月の子どもには、麻酔を使うことで意識レベルに不安が出るということから、麻酔無しで髄液を採取したと言われました。
脳波とMRIの検査で、脳の状態を確認する
病室に到着してからも、何度も何度もけいれんを起こしました。
- 黒目が上に上がっていく
- 身体の硬直
- 小刻みな手の震え 等
記憶している限りでは、こんな感じです。
胃腸炎でも、けいれんを起こす子もいるとのこで、可能性のある病状のけいれん止め点滴を何度も変えていたのを覚えています。
その後、MRIを取りました。
急性脳症の場合、すぐに脳へ異常が現れることもあり、脳への出血やむくみの状態などを調べました。
急性脳症の治療法は?
脳症の原因によっては、急速に症状が悪化するため、検査結果を待たずに、治療を開始するのが通常のようです。
我が家の場合も、「脳に異常があります」と医師より診断を受けて、数時間後にはステロイドパルス療法が始まりました。
更には、けいれんの状況からけいれん重積型(二相性)急性脳症の可能性も否定できないことの説明を受けました。
けいれん重積型(二相性)急性脳症とは?
- けいれん重積型(二相性)急性脳症の場合には、けいれんが数十分続き(けいれんが30分以上にわたって長時間続く状態をけいれん重積)、けいれん後に意識障害、その後多くは意識が回復するものの、数日後に再度短いけいれん発作が多発、意識状態も悪化することが特徴。
- けいれん重積型(二相性)急性脳症は、急性脳症の約30%を占める。
- けいれん重積型(二相性)急性脳症は、発症した方の約70%に後遺症が残る。
- もっとも多い後遺症は、知能指数低下、高次機能障害、失語症などの知的障害で、重症のケースでは、四肢麻痺、片麻痺などの運動障害。
- けいれん重積型(二相性)急性脳症の後遺症として残るてんかんの発作は重症化しやすく、抗てんかん薬の効きにくい難治性タイプが多い。
けいれん重積型(二相性)急性脳症を完全に防ぐことはできません。
インフルエンザ脳症だけでなく、けいれん重積型(二相性)急性脳症の一要因とも言われているインフルエンザやロタウィルス。
これらは、ワクチンを接種をすることで、リスクを軽減できることから、医師からも推奨されています。
ステロイドパルス療法が始まる
ステロイドパルス療法とは、ステロイドを3日間大量投与する治療方法です。
ステロイドパルス療法の説明を受けましたが、この時もけいれん多発の原因は分かっていませんでしたが、ステロイドパルス療法を行わないという選択肢はありませんでした。
ステロイドパルス療法は、免疫抑制作用のあるステロイドホルモンを大量に投与することから数カ月は免疫が下がる、との話もされました。
ステロイドパレス療法は、インフルエンザによる急性脳症ではガイドラインに掲載される、第一に行われる治療方法です。
急性脳症/入院1日~4日目
けいれん止め点滴・高熱の中、ステロイドパレス療法
多様なけいれん止めの点滴のせいか、高熱のせいか、ステロイドパレス療法のせいか分かりませんが、3日目の夕方までほとんど目を覚ましませんでした。
一瞬目を開けるも、意識を失ったように目を閉じ、また眠り続けます。
これが、丸2日間続いたので、本当に気が気ではありませんでした。
「もしかしたら、もう目覚まさないのかもしれない・・・」そんなことを何度考えたのか分かりません。
私があの時ああすれば、違う病院へ行っていたら違っていたかも・・・、もっと優しく接してあげれば良かった・・・と、何度も何度も自分のことを責めました。
急性脳症/入院5日目~8日目
ステロイドパレス療法完了、熱も下がる
ステロイドパレス療法がひとまず完了し、熱も下がりました。
しかし、大量のけいれん止めせいかステロイドのせいか不明ですが、9か月でつかまり立ちを楽しそうにしていた子は、お座りすらフラフラして出来ず、立つことはもちろんしません。
顔もパンパンに浮腫んでしまい、数カ月前の赤ちゃんに戻ってしまったように思えました。
しかし、毎日少しづつですが、起きている時間も長くなり、体を動かそうとしたり、体が回復しているのが目に見えてわかりました。
入院8日目には、ベッドの柵(転倒防止の為、別途には柵がついていました)を手で力いっぱい掴み、つかまり立ちも出来るまでになりました。
急性脳症のその後
我が家の子どもの場合、入院期間は9日にわたりましたが、無事退院をすることが出来ました。
脳に異常があると言われたこともあり、退院後も3か月に1回大学病院で診察、半年後にMRIや脳波等、再度検査を行いました。
幸いにも、脳の異常については、今のところ悪性ではなさそう、との判断をされています。
退院から2年以上経った今でも、半年に1回は後遺症が出ていない等も含め、大学病院へ通っています。
急性脳症我が家の場合:まとめ
結果として、我が子の場合、目立った後遺症は今のところ出ていません。
しかし、熱性けいれんだと思っていたら、急性脳症だった・・・1回目のけいれんでは全く気づきませんでした。
救急の医師ですら、熱性けいれんと診断したくらいです。
しかし、急性脳症の場合とにかく早い処置が必須。最悪の場合は、死にいたってしまうこともあります。
我が子の急性脳症の経験から、子どもがけいれんを起こしてしまった際には、出来る限り医師へすぐに診察してもらうことを、強くお勧めします。