子どもが小さいうちは、親が傍で見守っていることも多く、お友達とのトラブルや物を壊してしまう行為はある程度止めることが出来ます。
しかし、年を重ねるごとに、親が見守らないところで、お友達と遊ぶことの増え、自転車に乗る機会も増えるなど、今後は何が起こるか分かりません。
実際に、子どものトラブルは謝罪だけでは解決しないこともあります。
- お友達の物を壊してしまった。
- お友達に怪我をさせてしまった。
こんなことが起きた時に、便利なのが個人賠償責任保険です。
他にも日常生活賠償保険等という言い方もされる場合もあります。
壊してしまった物を弁償、ケガの治療代等を、個人賠償責任保険で対応ができるんです。
個人賠償責任保険(個賠)の特徴、対応できる状況、対応できない状況、誰まで対象者になるのか等について、まとめていきます。
個人賠償責任保険(こじんばいしょうせきにんほけん)こんな保険!
個人賠償責任保険は保険用語でみていくと、かなり堅い説明になります。
個人賠償責任保険は、国内外での自動車(乗車・使用・管理中含む)事故以外に生じる、日常生活に起因する偶然の事故による法律上の損害賠償責任を補償する保険です。
日常生活で意図せずに他人の物を壊してしまったり、ケガをさせてしまった時に弁償代や治療費が支払われる保険
これが、個人賠償責任保険なんですね。ちょっと分かりやすくなりましたよね。
最初のポイントとしては、
- 日常生活=車を使用中は日常には当てはめない!
- 意図しない=明らかに故意の事故ではない!
- 他人=家族以外
- 過失がある時のみ=法律上の損害を弁償する責任がある時のみ!
ということです。
生活の中での他人の物を壊してしまった、ケガをさせてしまった場合のトラブルにき対応できるのが、この個人賠償責任保険なんですね。
- 車を使用している時に起きた事故やケガについては、自動車保険を使うことが前提であり、個人賠償責任保険を使うことはできません!
- 明らかに故意の場合、個人賠償責任保険が使えないこともあります!
こんな時は対応できる
子どものトラブルだけでも、友達と遊んでいる最中に起きることもあれば、1人で行動している時に起きることもあります。
- 子供が自転車走行中に他人の車に傷をつけた。
- お店の商品を落として壊してしまった。
- 子どもがサッカーをしていて近所の人の窓ガラスを壊した。
- 友達の眼鏡を誤って踏んでしまい、壊してしまった。
こんな風に、日常生活で他人を怪我させてしまったり、他人の物(ペット含む)に損害を与えてしまった場合に、この個人賠償責任保険で対応ができるんですね。
ちょっとした注意点として「学校内での事故」は、どこまで責任があるのかという点です。
学校内での事故については状況や保険会社によって対応は異なることも
例えば、学校内でふざけていて友達に怪我をさせてしまった場合など、ここに親の責任があるのかどうか、という点です。
- 授業中だったのか、放課後だったのか?
- 先生の監督は行き届いていたのか?
- 子ども個人の問題なのか? 等
上記のことも考慮して、監督責任はどこにあるのかという判断が必要になります。
学校の始業~終業時間までは、学校内の問題と考える場合もあれば、休み時間は先生の監督時間外と考えることもあり、色々な解釈があるとも言えます。
保険会社によっても対応が変わる場合もあるので、加入している保険会社へ事故の報告をした時に、細かいいきさつや状況の説明が必要になります。
ペットが起こした事故は、飼い主の責任として個人賠償責任保険が使えます!
子ども(主に未成年者)の責任は親の責任というのが、個人賠償責任保険の考え方ですが、飼っているペットが原因の事故についても同様です。
飼っているペットについては、飼い主が保護者という考え方で、個人賠償責任保険が使えるのです。
- 散歩中にペットが他人にかみつき怪我をさせてしまった。
- 公園で他人の子どもをひっかき怪我をさせてしまった。
こんな状況であれば、飼い主の個人賠償責任保険で、怪我した人の治療費等をみることができますよ。
個人賠償責任保険はこんなときは対応できない!
個人賠償責任保険は、日常的なことからかけ離れたことに対しては保険は使えません。
- 業務中(職務遂行中)の事故
- 車両の所有、使用・管理により発生した事故
- ケンカ等の闘争行為
- 責任が生じない事故
- 他人から借りた物を壊してしまった事故※保険会社により異なる
- 同居している家族(親族)に対する賠償
①②は子どもからは、かけ離れるので細かい説明はしませんが、業務中に係わる事故車を使用中等の事故については、個人賠償責任保険は使えません。
自家用車を使用中の事故については、加入している自動車保険(任意保険・自賠責保険)を使って対応していく方法はあります。
③いじめや喧嘩も個人賠償責任保険の対象から外れてしまいます。
責任が生じない事故については、個人賠償責任保険は支払われない!
責任(過失)が発生しない事故については、個人賠償責任保険の対象にはなりません。
【保険が使えない例】
- 公園でキャッチボールをしているなかで、ボールが友達の腕に当たり怪我をした。
一般的にこんな事故は保険は使えません。普通に遊んでいて起こったことであり、誰が悪い等は無いからです。
【保険が使える例】
- 公園でキャッチボールをしているなかで、近くの家の窓ガラスを割ってしまった。
こんな事故については、窓ガラスの修理費用等のために保険を使うことが出来ます。
他人から借りた物を壊した場合は、個人賠償責任保険の対象にならないことが多い
子ども同士でいちばんあり得るのが、物の貸し借りによるトラブルですね。
友達からゲーム機やおもちゃを借りて壊してしまった場合ですが、借り物は借りた人の管理のもとにあるとされます。
子どもが借りた=子どもの管理=親の管理
となることから、自分の物を自分で壊したことと同じ考え方になるので、借り物を壊してしまった場合、個人賠償責任保険は一般的には使えません。
保険会社によっては、個人賠償責任保険に「借り物でも補償の対象となります」とう受託品賠償責任保険がセットで付いていることもあります。
ちなみに、友達の家で置いてあったパソコンを落として壊してしまった等の事故の時は、貸し借りが無いため保険の対象となるのが一般的です。
- 貸し借りがある・貸し借りがないで、保険が使用できるかどうかの判断される場合もあるので、個人で判断せず保険会社へ相談してみて判断を仰ぐことも大切だったりします。
- 借りた物を壊してしまった時は、「受託品賠償責任保険」等の保険に加入していればカバーできますよ!
- 受託品賠償責任保険も個人賠償責任保険と同じく、自動車保険や火災保険等の特約に付帯していることが多いので確認してみて下さい。
遠方に住んでいる祖父母宅でモノを破損してしまった時は個人賠償責任保険は使えることも!
生計を共にしている(主に同居家族)人の物を壊してしまった場合、個人賠償責任保険は使えません。
しかし、同居していない(同一生計で無い)祖父母の家で、子どもが壊してしまった物の損害については、個人賠償責任保険を使うことが出来ます。
- 子どもがふすまを壊してしまった。
- 食器を割ってしまった 等
個人賠償責任保険に加入した記憶はなくても、加入していることも実は多い!
個人賠償責任保険へ意識して加入した記憶がないと思っている方は、結構多いと思います。
その理由として、個人賠償責任保険は、特約等で保険に入っていることが大半だからです。
実際には以下の様なきっかけから、個人賠償責任保険に入っていることもあるんです。
- クレジットカード
- 自動車保険
- 火災保険
- 自転車保険
- 傷害保険(子どもの怪我保険)
- 学校で加入している保険
そうなんです、「意外なところで加入していました~」なんてことも結構あるんです。
- 保険関係については、一度加入している保険の重要事項について確認してみて下さいね。
- 他にも旦那さん名義のカードや保険でも、加入している可能性もあります。
- 個人賠償責任保険は、保険を使うことによって次年度の保険料が上がることはありません。
- 自動車保険に特約として付いている場合でも、保険を使っても等級や保険料への影響もないのが特徴です。
個人賠償責任保険が使える人や対象範囲や示談代行サービスがあるかどうかは要確認!
個人賠償責任保険の保険を使える人(保険の対象)は、
- 個人(保険加入者)
- 配偶者
- 同居している親族
- 生計を共にする別居の未婚の子※保険会社により異なる
基本的には保険加入者+その家族が範囲となります。
日常生活で起こり得ることを補償するため、保険の対象となる人の範囲が広いのも特徴の1つです。
- 一般的には、保険に加入している人の家族(同居・別居未婚の子)が保険の対象範囲ではります。
- しかし、保険会社によって、保険加入者のみ・同居している家族のみが保険を使えることもあるので注意が必要だったりもします。
個人賠償責任保険の対象が国内なのか、海外でも使えるのか確認は必要
個人賠償責任保険は、基本的に国内での事故を対象にしているのが、多くを占めていますが、国外でも補償の対象となっている保険も、もちろんあります。
国外でも個人賠償責任保険の対象となっている保険をいくつか挙げていきます。
- 損保ジャパン日本興亜【「THEクルマの保険」個人賠償責任特約 】
- 損保ジャパン【「THEすまいの保険」個人賠償責任特約】
- 東京海上日動【「自動車保険」個人賠償責任補償特約】
- 東京海上日動【「からだの保険」個人賠償責任補償特約】
- イオンカード【「ネットでかんたん保険」個人賠償責任補償特約】
ちなみに、海外旅行に行く際に海外旅行保険に加入する方が多いはずです。
旅行期間中のトラブルに使える海外旅行保険にも、個人賠償責任保険(ホテルの水漏れ、他人を怪我させてしまった等)がついているのがほとんどです。
加入している個人賠償責任保険が国内のみ対象の場合でも、海外へ行く際に海外旅行保険(個人賠償責任保険付き)に加入すれば、問題はありません。
- 海外での事故の場合で個人賠償責任保険は使えても、示談交渉(相手との交渉)サービスが使えないので一層注意は必要です。
個人賠償責任保険の示談交渉サービスが付いている保険を選ぶ!
個人賠償責任保険には、示談交渉サービスが付いている場合と付いていない場合があるんです。
示談交渉とは、保険会社と被害者の方とで解決に向けた話合いを進めることです。
- 親同士で話合った方がずっとスムーズに進む。
- 保険会社を通すなんて大ごとにしたくない。
- 保険会社と相手方でトラブルになると学校生活に支障がでる。
子ども同士のトラブルの場合、上記のように考えるのが普通だと思います。
個人賠償責任保険の示談交渉サービスが付いていても、使う使わないは自由に選べる!
知り合いや近所の方とのトラブル、例えば少額の弁償代や小さな怪我で済むのであれば、当人同士での話合いをしてもあまり問題にはなりません。
- 相手が赤の他人
- 破損してしまった物が明らかに高額
- 破損してしまった物の価値がわからない
- 明らかに怪我が小さくない
上記の状況であった場合、当人同士での話合いで解決になることは、なかなか難しいのです。
「怪我の治療費や破損してしまった物の修理費を全額支払えば解決になる」とは言えないからです。
- 怪我に関しては治療費だけでなく、慰謝料や通院にかかる交通費等も補償対象に当たる。
- 物の破損の場合、現在の物の価値までの補償が保険会社の見解。
- 保険会社を通さない場合、加害者側が全額立て替えなくてはいけないことも。
- 相手に非がなくとも、加害者からお金を巻き上げようと考える悪い人もいる!
上記のことからも、当人同士での交渉だけで解決が難しいことがあるのです。
保険会社を通さずに直接交渉をしている場合、相手からもらった見積りや治療費等を基に金銭的な支払いをした場合、全額保険会社から戻ってこないことも十分にあるのです。
示談交渉サービスが付いていれば、示談交渉を保険会社に任せるのか、自分で交渉するのかは、その事故の度に自由に選ぶことができるんです!
子ども同士や知り合い同士のトラブルだと保険会社を間に入れたくない気持ちは分かります。
しかし、相手側から提示された「修理費」や「怪我の状況」や「治療費」に少しでも不安が出れば、示談交渉をサービスを利用することをお勧めします。
まとめ
子どものトラブルは、実際にはお金だけで解決できるものではありません。
しかし、万が一の金銭的な補償には、この個人賠償責任保険が役に立ちます。
個人賠償責任保険でも補償できない範囲はもちろんありますが、少しでも日常生活のトラブルを避けるためにお勧めの保険です。
特に、ケガの治療費等が生じる場合、保険会社を通すことで医療機関とも直接支払についてのやり取りもしてもらえるので安心できますよ。